先日、この度シンガポールで就職が決まったA氏と食事をする機会がありました。A氏の希望でイーストコーストでシーフードを食べようということになり、久々にイーストコーストパークを散歩しながらお目当てのレストランに出かけました。

ちょうど週末ということもあり、公園には家族連れや友人同士、カップルが思い思いのスポーツに興じていて、やしの木の向こうには海が見え...日本から来たばかりのA氏にはそれらがとても新鮮に映ったようです。

予約をしていなかったので早めにレストランに入り、注文をし、新しい職場でのこと、部屋探しのことなどあれこれお喋りが盛り上がった頃。ふと見回すと、がらんとしていた2階のフロアがみるみるうちに満席に。最初は10人掛けの大きな円卓を眺めて、「あんなにいっぱいお客さん来るものなんですかね?」と言っていたA氏も驚くほどの家族連れが。

10掛けのテーブル2卓を占領した家族もいて、大げさに言えばシンガポーリアンの家族の絆を実感してしまいました。「なんか、いいですねー。日本じゃ最近こんなにして一緒にご飯食べないですからねー」と、A氏、ちょっと嬉しそうな、そして懐かしそうな笑顔。

共働き夫婦が多く、子供たちも学校や習い事で忙しいのが日常のシンガポールの一般家庭。でも、週末や行事の際はこうして全員が和気藹々と食卓を囲んでお喋りしながら食事を楽しむ。かつては当たり前だった家族の幸せみたいなものが目の前で繰り広げられていて、私もちょっと嬉しく、懐かしく、そしてしんみりしてしまいました。

日本では映画「ALWAYS三丁目の夕陽」の1作目が日本アカデミー賞を総なめにするヒット、続く2作目も大好評を博したと聞きます。家族という核をしっかり守って貧しいながらも地道に明日に向かって日本が生きてきた高度成長期の人々をユーモラスに描いた映画です。

日本は豊かになったけど、毎日のように変質者的殺人事件が相次ぎ、どこかで人間が壊れてしまったと感じているのは私だけでしょうか。シンガポールも日に日にその姿に近づいていくのかもしれませんが、それでも今のシンガポールにはまだまだ心温まる家族像を見ることができます。

それにしてもシンガポーリアン家族の食卓...相変わらず賑やか(大騒ぎ?)でしたね。