ツイッターというものに馴染んでから、それを言い訳にブログの更新を怠っていました。
御無沙汰のお詫びから始めますことをお許しください。

あっという間に2012年も年の瀬となり、ほぼ1年振りにブログを書いています。

おかげさまで今年も仕事においては充実した1年を送らせていただきました。
日本からの進出企業関係のプロジェクトが多かったですね。

昨年は3.11の影響か、日本国内のリスクヘッジのためにとりあえず拠点設立しておくという中小企業のお客様が多かったのですが、今年は事業計画をしっかり練って進出を考えるお客様が増えたように感じます。

シンガポール拠点設立には節税効果も含め様々な利点がありますが、一方、高額なオフィス賃料、人件費その他、固定化する事業コストも高いという現実の認識も広まったのだと思います。

また、小売市場としては規模的に限界がありますし、外国人労働者への就労ビザの発給制限も影響したせいか、進出してくる業界にも変化が見られました。当社が関わった限りにおいては、B to Bの方に比率が高まったように感じています。

シンガポール政府の政策を充分理解した上で、生産設備を伴う大規模な事業拠点としてではなく、戦略的拠点、インテリジェンス・ハブとしてシンガポールを捉える重要性が再認識された様子でした。

当社は会社設立手続きだけでなく、進出形態のご相談から設立手続き代行、その後のビジネスが確立するまでの各ステージで様々なお手伝いをしております。EDBをはじめとする関連政府機関に対してしっかりとしたネットワークを持っていることも強みです。

実質的には既に進出しているビジネスでも、従来の代理店経由の販売から直販への切り替え、それに伴う市場調査から事業継承デューデリジェンスを経て、その後の組織編成のアドバイザリーも行います。今年はこうしたプロジェクトを2件、手がけさせていただきました。ひとつはシンガポール国外も含めたプロジェクトでしたので、各国のアフィリエイトコンサルタントと協業しながらの作業でした。

10月末には例年通り、GES Global Business Leaders Summitに出席し、ASEANを中心とした各国の政府関係者、ビジネスリーダーとのネットワークをリフレッシュする機会をいただきました。毎年、セントーサ島で3日間にわたって行われるサミットで、経済展望の基調講演から始まり、パネルディスカッションや地域経済ごとの分科会など、今後のアジアを予測する上では大変有意義な機会なのですが、毎年500名を越す参加者の中で日本人と出会うことはまずないというのが残念でもあります。003

昨年は日本の銀行がスポンサー企業として出られましたが今年はそれもなく、また、話し合われるトピックに日本の存在を感じさせるものはほとんどないという状態を見ると、日本のガラパゴス化はかなり深刻なところにまで来ていると感じざるを得ませんでした。

政界におけるリーダーの不在、焦点の定まりきらないグローバル化、日本という国自体のマーケティングの弱さなど、どの国であっても単独では戦いきれない今の時代、日本は孤立の道を進んでいるように感じました。

これだけの技術力を持つ国でありながら、それを海外に売り込んでいく力、それも営業力などという一辺通りのものではなく、戦略的アライアンスを組み、他者と協業して『足し算ではなく掛け算で』ビジネスを進めていく大胆さやスピードなど、IMDをはじめとするいくつかの競争力ランキングにおいて、日本が生産性やビジネス効率において、80年代を最後に20位近辺に転落している実態を認識させる体験でした。

また、今月8日には東証第一部上場企業の幹部研修会の講師として半年ぶりに帰国し、大阪本社にて常務以下役員の方々20名を前に、組織のグローバル化について講演をさせていただきました。

シンガポールにおいても大学や高校のシンガポール研修にお招きいただき、海外在住者の視点から今の日本を捉えたり、グローバル人材育成についてお話をさせていただく機会を多くいただきました。今年だけでもこうした講演機会は8回にのぼりました。

次回は3月に関西のビジネス関係の学会にパネリストとして出席をさせていただく機会をいただいております。

シンガポールの在住歴も17年目に入り、日本が失われた20年と自らを形容する間に、アジア通貨危機、SARS、リーマンショックと3度の大きな経済危機を乗り越えながら刻々と成長を遂げるシンガポールで仕事を続けている私の視点は、日本にいらっしゃる方々にとっては新鮮に感じられるようです。

求めずともこうした講演機会をいただけたことは、私にとりましても励みになり、自らの半生を振り返る機会も与えていただきました。

グローバル化という言葉は日常的になりましたが、では自社そして自分個人にとって何がグローバル化なのかという点を突き詰めて考える機会はなかなかないのではないでしょうか。自社が求めるグローバル化について共通認識を持てないまま出航してしまった企業は、これから『グローバル化プロジェクト』なるものにいたずらに翻弄されるばかりで、そこから生まれる利益を充分享受できずに疲弊してしまうリスクも秘めています。

17年間をかけて様々な国籍のマネジメントの下で働き、自らをグローバル化してきた実体験をもとに、これからは組織、個人の両側面から世界のどこに行っても通用する日本企業、日本人の育成を目指して発信を続けていきたいと思います。

来年上旬には本の出版も決まりました。

詳細はまだ明かせませんが、今回の日本出張では出版社の方々とも打合せを行い、来年のできれば早い時期に出版をしたいと考えております。

そういうわけで今年は年末年始も返上。プロジェクト業務の合間にせっせと原稿を書く毎日となりそうです。

皆様の1年はいかがでしたでしょうか。

それでは、良い年の瀬、そして新年をお迎えください。
今後ともよろしくお願いいたします。

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