先日、ふと思ったこと。

それは仕事をする間柄において、感性が似ていること、嬉しいや悲しいの感情を同レベルで共有できることって実はとても大切なことなんだな、と。

当社は大所帯のコンサルティング会社ではありません。
人材紹介や市場調査、新規進出企業の市場参入に関するコンサルティングやマーケティング、パブリシティマネジメント、会社設立手続き、会社清算や従業員解雇のプロジェクト・・・一言でコンサルティング会社といってもその守備範囲は多岐にわたります。

もちろん、その全てにエキスパートをフルタイムで雇っていたらそれなりに機動力は出せるとは思いますが、経営が成り立たない。どんな会社でも全ての分野のエキスパートに年間を通じて同じボリュームで仕事を用意できるわけがないからです。結局、いくつかの分野では経験の足りないスタッフを「社員だから」という理由で使っていかなくてはなりません。

それをしたら仕事の質が落ちますから、承るプロジェクトごとに外部のプロフェッショナルと契約をしてチームを組み、当社がプロジェクトマネジメントをする方法でやっています。分野ごとに組む相手はほぼ決まっていますが、良い意味で緊張感を持って仕事に臨めます。会議ひとつをとっても、どちらかのオフィスにでかけてやりますから、時間を決めて効率的に行います。パフォーマンスについても同様。ダメならクビになるからです。

日本は全てインハウスでやることが多いですが、専門家にアウトソースして高次元の仕事をするよう努めるのは欧米系企業ではよくあることです。それも契約という概念が確立しているから可能なことなのでしょう。

当社の体制はさておき、そういうビジネスモデルですから外部のローカルコンサルタントと一緒に仕事をする機会が多いのですが、そこでいつも思うのは、実務ができても感性が合わない相手とは120%の結果には至らない、ということです。

お互いプロですし、契約関係という緊張感のある関係ですから(パートナーとして力不足であった場合、はっきり理由を伝えてプロジェクト途中でご辞退いただいたこともありました)、段取り通り進めれば100%の結果は出せます。

しかし、それが偶発的にも120%まで昇華し、想定範囲を超えた成果が出せたことが何度かありました。
これはお互いの感性が合ったからだと思うのです。

この感性の法則が作用すれば、チームの力は足し算から掛け算になります。

この人にはこういう仕事をしてあげれば喜ぶ、彼の仕事もうまくいく。
この人にこういうことをしてしまうと、足を引っ張る結果になってしまう。

同じ言葉を同じ状況で発しても、相手により発奮する人もいれば、ただ傷ついて無気力になる人もいる。
親切でやったことが相手の領域侵害になって生産性を低下させたり、単純にお節介と受け取られプライドを傷つけてしまうこともある。

プロジェクトリーダーとして携わるときは、何がチームメンバーそれぞれのモチベーションとして作用するのか、そしてそれぞれが設けているボーダーラインがどこにあるのか。そうしたことにアンテナを高くして、早期に自分のアンテナの周波数を見極めること。これが大切ではないかと思います。

かくいう私も何度もその「周波数設定」に失敗して、相手からの電波をキャッチできなかったり、意図せずして発言したことが相手のやる気を削いでしまったことがあります。

これが比較的簡単にできる相手かどうか?
自分の感性を頼りに判断しても大きな問題に至らずに済むか?
感性が合う合わないの分岐点はそこにあるのではないかと思います。

感性は持って生まれたもので人それぞれ。変えろといって変わるものではありません。
だからこそ感性豊かな人間でありたいと願い、それを磨く努力を怠ってなならないと思うのです。