この週末は“里親募集会”のお手伝いに行きました。

昨年からボランティアとして参加しているAction For Singapore Dogs (ASD)という捨て犬の保護活動をしている非営利団体で里親探しのイベントがあったのです。場所はブキティマ地区のTurf City。市街地からほど近い高級住宅地ブキティマからほんの数分の緑の多いTurf Club Roadに K9 Kultureという犬のための総合施設があります。ここは犬のしつけ教室からデイケアセンター、グルーミング施設、手作りドッグフード店、クリニックなどなど、愛犬家とその犬にとっては何でも揃う場所です。

その一角を借りて、我がASDに保護されているワンコたち約10頭が新しい家族に巡り会うためにやってきました。

本当は成犬になってからでも新しい飼い主には充分なつくものなのですが、やはり子犬の方が里親は見つかりやすい。ということで、この日も大半は生まれて半年未満の子犬を連れて行きました。

畳1畳分ぐらいのサークルを2つ出して子犬たちはASDスタッフ手作りのバンダナを首に巻いて、しかし来場者に愛想をふりまくわけではなく、極めてマイペースで食べて遊んでお水を飲んでオシッコして・・・(ま、子犬とはそういうものです)疲れたらサークルの中ですやすや眠ってしまいます。

最近は不況の影響でメイドを解雇する家が多く、「メイドがいなくなったから飼えない」と無責任にも施設に犬を持ちこむ家庭も増えたとか。そもそも飼う以上、メイド任せにすること自体おかしいと私は思います。犬を育てることはその家の子供にとっては最高の「大人になる訓練」だと思うのです。自分が世話しなければ生きていけないのが家庭犬ですからね。

かく言う私も虐待されていたワンちゃんを引き取り1年になりますが、毎朝暗いうちから散歩に連れて行き、夜はどんなに疲れていても雨が降っていなければまた散歩に連れて行く。出張の時は家庭で預かってくれるドッグシッターさんに預けますからお金もかかります。飼う前は、「疲れて帰宅した時、足元にまとわりついてきたらイヤだな」と思ったこともありましたが、なんのなんの・・・尻尾を振って出迎えてくれる姿を見るだけで一日の疲れなど吹き飛んで「さぁ〜、お散歩いこうねぇ〜!」などと浮足立ってしまうのです。

ただ、言葉が通じない相手ですから忍耐も培われます。明け方、ベッドにもぐりこんできておネショをされた時は、朝の4時にシーツを洗濯する破目になり・・・「こいつぅ〜」と思い切りお尻をたたこうとする直前で、「いけない、いけない、この子は何を叱られているのかわかっていないのだから」と気を取り直したことが何度もありました。

人間の子供の子育てと一緒にしたら世のお母様方に叱られそうですが、意志疎通の充分でない相手に忍耐を持って教えていかなければならない点は同じではないでしょうか。子供のいない私にとっては、それはひとつの人間修行だったように思います。

つまり犬と暮らすことは楽しいことばかりじゃない。それなりの犠牲も必要。だからこそ、メイドという他人任せではなく、家族が、できればその家の子供が責任を持って世話をすることが大切なのだと思います。そうして自分より弱い者、助けを必要としている者を世話することで、忍耐も優しさも育まれていくのではないでしょうか。

その意味では、アクセサリーを買うように犬を買っていくのは間違いだと思いますし、世話できないから、不要(?)になったから、と言って施設に連れてくるのは無責任極まりないと思うのです。

と、いろいろ言いたいことはありますが、犬たちはそんな背負ってきた背景を感じさせないほど明るく、裏切られても裏切られても人間を信じようとする生き物なのですね。今回の里親募集中のワンコたちも皆、そんないじらしいほど純粋な子たちでした。

1頭だけその外見からも可哀想なワンコがいました。
名前はYAHOO(ヤフー)。4歳になる男の子です。
ヤフーは片耳がありません。それは元の飼い主によって切り取られてしまったからです。ヤフーの頭の天辺は毛が全く生えていません。それは元の飼い主が熱湯を浴びせかけたからです。そんな虐待の状況から何とか救い出し、必要な医療ケアを施し、半年してようやく元気になりました。まだちょっと食が細く痩せていますが、食べる量も徐々に増えてきています。

そんなヤフーですが、ドッグシェルター施設に訪問者がいると、真っ先に駆け寄って尻尾を振って出迎えます。残念なことに彼のそんな外観に大半の訪問者はぎょっとした顔を見せ、そそくさを視線をそらすのですが。

ヤフーは既に通院も不要になり、頭の天辺の皮膚はやけどの跡が残っていますが、皮膚炎などもなく極めて健康です。片耳が切り落とされた跡は生々しいけれど、聴力も正常です。そんな体験をしたにもかかわらず、ヤフーは人間が大好きでボランティアスタッフの人気者。椅子に座っているとやってきては後ろ脚で這い上がり、「ねぇ、抱っこして」と甘えてきます。抱っこすると喉の奥でくぅくぅと甘えた声を出してなつきます。

シェルターの犬たちは様々な生い立ちを過ごしており、その多くが不幸の連続。それだけにASDのスタッフやボランティアは今度こそは幸せになってほしいと願っています。ですから里親に名乗り出ても、終世飼育ができない家族であれば丁寧にお断りしています。今度、引き取ったら「メイドが辞めたから」なんて理由で戻されては犬が可哀そうだからです。

会場となったK9 Kultureの一角では、1日45ドルもする費用を払ってまでデイケアで世話をしてもらったり、プロの手でシャンプーしてもらった幸せな犬たちも見かけました。同じ犬として生まれながら、なぜこの子たちにはあのように愛されなかったんだろうと思うと胸が痛みました。

この日、里親が決まったのは4頭。これから手続きをしますから当日お持ち帰りは出来ませんが、この子たちに家族が出来るのも近々のことでしょう。世話をしていた子が貰われて行くのはちょっとさびしいけれど、いつも「幸せになれよ〜、戻ってきちゃダメだよ!」と心の中で叫んで送り出します。

最近、新しいデジカメを買いました。
早速、今回の写真を載せてみますね。

責任を持ってこうした犬たちを迎え入れて下さる方がいらっしゃいましたら、ぜひ、私までご連絡ください。決心するに至らなくてもご相談の段階でも結構です。人間たちのエゴの犠牲になってきたもの言えない小さな命を同じ人間として温かく迎え入れてあげていただけませんか。犬たちは生涯あなたを裏切ることなく、全幅の信頼を寄せて寄り添ってくれますよ。

ご連絡は、kawamura@primesearch-i.com までどうぞ。

お昼寝中
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ボクをおうちに連れてって
ボクの家族はどこにいるの?

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右耳のないヤフー
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不幸な生い立ちを乗り越えたこの笑顔!
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